映画「ノルウエイの森」

遅ればせながら、映画「ノルウェイの森」を見てきました。
(「遅ればせながら」って程でもないか・・・)


ジョニー・グリーンウッド(音楽) / ノルウェイの森 オリジナル・サウンドトラック [CD]


結果として、原作をもう一度きちんと読みたくて、
映画を見た直後に読み始めたら、没頭してしまいまして・・・。
それこそ、寝食忘れてました。
気が付いたら日付が変わっていましたわ・・・。
心なしか、痩せたような気がします。
(実際に、2キロ体重減っていた・・・。)


私は、本を読み出すと止まらないタイプなので、
昔はよくこうやって、時間を忘れて本を読み耽っていましたが、
さすがに今は仕事があるから、そうそうできないですが、
そういう意味で「正月休み」っていいですね!!




さて、映画の「ノルウェイの森」の感想ですが・・・。


あ、こういうのって

 「ネタバレ注意!!」とか書かなきゃいけないんですっけ?

「ネタバレ注意」かどうかわかりませんが、原作読んでいる人にとっては
ネタバレはありません。(多分)



私の個人的感想から言うと、「見て良かった」というところです。
それに基づいた上で、少しだけ細かい感想を述べたいと思います。




まず、良かった点


一つ目。
これは誰もが言っていることだと思いますが、
「映像がとても綺麗」ということです。
この監督さんはそれにすごくこだわっている人ですが、
それがうなづける映像でした。
私はこの監督の「青いパパイヤの香り」と「夏至」を見ましたが、
ノルウェイの森」はまさにこれらのタイプの映画です。

全体的にとても静かなんだけど、映像が非常に綺麗なんで、
何か目が離せないんですよね。

スクリーンいっぱいに広がる森の「緑」、
そして冬の雪景色の「白」がとても印象的でした。

そして、映像全体を通して、東南アジアの香りが漂っていました。
日本なのに、日本じゃない。
特に、ワタナベの寮なんて、
タイかインドネシアか辺りの安ホテルの一室の様でした。
ま、監督の出身からすると当たり前なんですがね。


二つ目、役者さん。
松山ケンイチさん、良かったです。
「ワタナベ」にしては、幾分格好良すぎる気がしますが、
私も「あなたのしゃべり方好きよ」と思えました。
また、白のブリーフもとても似合っていました。


それから、「ハツミ」役の初音江莉子さん。
とっても良かったです!!
私、個人的にはこの映画の中で一番良かった役者さんかもしれません。
原作を読み返してみて、あの人は本当に「ハツミ」さんそのものでした。
台詞の言い方とか、間の取り方とか、素晴らしかったです。


次に、「永沢」役の玉山鉄二さん。
この人は、こういう「イイ男なんだけど、ちょっと癖のある男」
というのが本当によく似合いますね。
昔ながらの服装も見事に着こなしていましたし、
永沢のいやらしさを十分に出せていたと思います。


三つ目。印象的だったシーン。
ワタナベが直子の施設から帰る時に、
直子がワタナベにこう尋ねるんです。



「もし私が一生濡れることがなくて、一生セックスができなくても、
 それでもあなたずっと私のこと好きでいられる?
 ずっとずっと手と唇だけで我慢できる?」


私、この時すごく緊張したんです。「ワタナベ」一体何て答えるんだろうって。
(原作、すっかり忘れてたんで・・・)
だって、


「もちろん」って答えたって、何か嘘くさいし、


「何てこというんだ、当たり前だろ」、これも信じられない。


そして、
「わからない」という答えは男としては正直なところだけど、
それじゃ、女としては、すご〜く傷ついてしまうだろうし。


そしたら、ワタナベはニコって微笑んで


「僕は本質的に楽天的な人間なんだよ。」


って、答えるんです。



私は何故か涙が出そうになりました。
私が直子だったら、100点の答えだったと思います。
これはきっと台詞じゃないんですよね。
松山さんの演技力が素晴らしかったんだと思います。


このシーンだけでも、映像で見れて良かったな〜と思います。
唯一、原作より映像が勝った場面だったと思います。(私、個人的にね)





さて、次に残念だったな〜と思う点



一つ目。
ストーリーですが・・・。
映画全体として、「ノルウェイの森」原作を読んでいる人が見ないと
訳わからない映画なんじゃないかと・・・。
でも、原作好きな人が見ると「物足りない」と思ってしまいます。

長い話を2時間半や3時間でまとめるには限界がありますが、
やはり、もう少し原作のエピソードを大事にしてほしかったと思います。

直子があんな風になったのには、「キズキの自殺」だけでなく、
「姉」という存在があったこと。
それに、「礼子」さんの事情など、全部カットだもんね・・・。

それから、最初に出てくる直子の「井戸の話」、これもすごく重要。
でも、カット。残念です。



二つ目。
台詞と役者の台詞の言い回し。

台詞が短くなっていることが多くて、
「そこだけ切り取っても意味ないじゃん!!」
と言いたくなるところが、とても多かった。
そこは監督が外国人だから仕方ないのか分かりませんが、
非常に残念な点です。


同じような事ですが、
「緑」役の水原希子さんは、
瞳が印象的で、ビジュアル的にはとても良かったのですが、
滑舌が悪いので、台詞が聞き取りずらかったです。
この辺り気づかないところも、日本人じゃないからなのかな〜とか
思っちゃいました。


私はアニメが好きだからかどうか分かりませんが、
「声」に異様に執着するところがあって、
それは見た目より、演技力より(結果的には演技力になりますが・・・)
「声」に魅力が無ければ、それだけでアウトになってしまいます。
そういう意味で、今回に「ハツミ」役の初音さんは
何というか、本当に素晴らしかったです。

ワタナベがハツミさんのことを


「何かしら人の心を強く揺さぶるものがあった」



と表現していて、それが何かと言うと、


それは充たされることのなかった、
 そしてこれからも永遠に充たされることのないであろう
 少年期の憧憬のようなものであった


と述べていますが、
そのハツミさんを、初音さんは「声」の演技で見事に表現していました。





長くなりましたが、結論を述べると、
原作をもう一度読みたくさせる、映画「ノルウェイの森」は
私にとっては「見て良かった」映画と言えると言うことです。


そういえば、
私の前に座っていた若い女の子二人組は
「何か・・・『大人の映画』やったね・・・。」
「うん、あ〜いうもんなのかな・・・。
 でも、映像はキレイやったね。」
と感想を言ってました。




ちなみに、私は村上春樹の本では
『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

が一番好きです。
この感想を述べ出すときりがないので、今日はこの辺で・・・。



★ おまけのど〜でもいい話  ★

映画を観終わった後、「100均」ショップに行ったんですが、
私の前にレジに並んでいたおばちゃん、
な、何と「100均」で


8400円も買い物してたんですよ!!



どんだけ、買うねん!!


(大きなお世話ですが・・・)


少なくとも80個は買ってるということですよね??

私の後ろに並んでいたヤンキー二人組のネーチャンは
あまりにも長いレジに腹を立てたのか
私の横まで来て、

「あのオバハン、100均でどんだけ買うとんねん!!
 ありえんやろ!」

って、思いっきり「チッ!」と舌打ちしてました・・・。

た、確かにね〜。