今週のお題「クリスマスプレゼントにほしいもの」

「サンタクロース?そんなものいる訳ないでしょ。」


小学校1年生の私に告げられた、母親の残酷な一言。


その一言は、私に
本当に欲しいものを
クリスマスプレゼントに願うことが否定された瞬間であった。
それと同時に、
「夢見るクリスマス」が終わった瞬間でもあった。



それでも「クリスマス」というイベントは好きだった。
何故なら、
母親はいつもクリスマスイブには、
骨付きの鶏のもも肉のから揚げを
クリスマス使用に作ってくれた。
そして、父は必ずクリスマースケーキを買ってきてくれて、
その日の夜、
家族全員でクリスマスケーキにキャンドルをたて、
電気を消して、父親が
きよしこの夜」を
何故か英語バージョンで歌ってくれるのを聞くという、
ちょっとしたクリスマスイベントが
我が家ではあったからだ。


今思うと、特に英語が得意でもない父親が
なんで
英語できよしこの夜」を
毎回歌っていたのかは本当にである。


そんな「クリスマスイベント」は
確か私が小学校4年生ぐらいまで続いたと思う。


気が付いたら、
我が家の「クリスマスイベント」は無くなり、
父もそれ以来
きよしこの夜」を
歌うことはなくなった。


そして、今は本当に歌うことができなくなった。





そして、時は流れ・・・
私が「クリスマスイベント」に再び出会ったのは
ある女性と一緒に住んでいる時のことだった。


その頃の私は、ちょっと辛いことがあって
心の中にいつも黒い雪がシンシンと
降っているような日々を送っていた。


多分、そんな私を見かねて
「クリスマスツリーを探しに行こう!!」
と彼女は誘ってくれた。

アメリカの田舎では、
「もみの木」山から、
自分の気に入った「もみの木」を切って持って帰り、
自分家のクリスマスツリーにするのである。


それだけでも、私にとっては十分楽しかったのだが、
その「クリスマスツリー」に飾り付けする時に
ちょっとしたサプライズがあった。
クリスマスのORNAMENTは一つ一つ、大事な箱に入っていて、
それを出して飾り付けする際に、
彼女はこう教えてくれた。

「このORNAMENT、一つ一つに想い出があるのよ。」
と。

これは、○○が生まれた時に買ったもの、
これは、□が結婚した時に買ったもの・・・


そして、彼女は真新しいORNAMENTの箱を開けて


「これは、あなたがこの家に来た記念のORNAMENTよ。」


そう言った。


ここに居る意味を見つけられずにいた。
私なんか、消えてなくなればいい。
そう思っていたけど、
私もあなたの「歴史」の一つに入れてくれの?


純粋に嬉しかった。


そして、クリスマスイブの日の朝は
カーテンを開けると、
真っ白な銀世界が広がっていた。


その夜、アメリカのクソまずいケーキを
砂糖ジャリジャリさせながら
彼女と、彼女の家族と一緒に食べた。
「まっずいね〜」
と言いながら。
ちょっと楽しかった。


それからも、
私の辛い日々は
そんなに変わることは無かったけれど、
クリスマスのイベントは、
ほんの少し私に勇気を与えてくれた。
そして、私の中で絶えず降り続いていた
「黒い雪」を、少しだけ
「白い雪」に変えてくれた気がする。




また、さらに時は流れ・・・


あの頃と事態が劇的に変化した訳ではないけれど、
私は今とても元気だ。
それだけで、
他に欲しいものはそんなに見つからない。


でも、もし本当に「サンタクロース」がいて
クリスマスの願いを叶えてくれるなら、

子どものころに聞いた
「父の『きよしこの夜』」
(しかも英語バージョンで)を聞きながら、
彼女と一緒に
あのクソまっずい、そう
砂糖ジャリジャリのアメリカのケーキ
食べる時間をプレゼントしてください。



あなたの
本当に欲しいものは何ですか?




みなさんに、
素敵なクリスマスが訪れますように・・・




追伸:
amazarashiさんの「クリスマス」という曲を
聞きながら書いていたら、
何だか、こんなセンチな内容になってしまった・・・。
チィ〜ッ、らしくないなぁ・・・。

ワンルーム叙事詩